午前2時に書くブログ

大人になりたいようななりたくないような、誰かとお話したいようなしたくないような、あの感性を大事に。

編集大学生 vol.2  開催レポ

 

「編集大学生 vol.2 開催のお知らせ」で告知しました通り、2/17に編集大学生vol.2を開催しました。

第2回となる今回は、ノオトで編集・ライターとして活躍されている朽木誠一郎さんが登壇。ライターの現実について語っていただきました。参加者は35名ほど。

 

今回私は運営側として、企画や広報をしていました。参加した方も参加できなかった方も楽しめるレポートにできればと思います。

 

前提

今回のイベントの主旨は「なぜ書くのか」を考えるきっかけを作ることです。朽木さんも講演中念を押されていましたが、ライターの仕事の仕方に正解はありません。自分はどんなライターになりたいのか、そもそも書くことを仕事にするのかどうか、考える時の参考として講演内容を読んでいただきたいと思います。

 

19:00 イベントスタート

司会は前回と同じく磯部さん。アセナビで編集長をしています。

編集大学生を開催した背景として、「メディアに関わっている学生や興味のある学生がゆるく繋がる場を作りたかった」という話をしました。

 

ここで朽木さんにバトンタッチ。

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朽木誠一郎氏

編集者、ライター。大学時代にフリーライターとしてキャリアをスタートし、卒業後はメディア事業をおこなう企業に新卒入社。オウンドメディアの編集長として企画・編集・執筆を担当したのち退社。現在は編集プロダクション・ノオトに勤務するかたわら、Yahoo!ニュース個人/サイボウズ式ブロガーズ・コラムなどで執筆、PAKUTASOのフリー素材モデルとしても活動している。

 

ここからは私達が用意したテーマに沿ってお話をしていただきます。本当に本当に全部載せたいぐらい濃い内容なんですが、今回はごく一部を抜粋させていただきます。

 

講演内容目次

・朽木さんがライターになった頃のwebライター事情

・嬉しかったことと大変だったこと

・まずは組織に入って修業した方が良い

・最後に(ほぼ全文)

 

朽木さんがライターになった頃のwebライター事情

(元のテーマ「ライターになった理由、きっかけは?」より)

 

朽木さん「今のみなさんはメディアで書いたり編集プロダクションでインターンしたりできると思いますが、当時(2011年〜2012年)はそんな状況じゃなかったんです。今みたいにメディアが乱立していなくて、今も残っている所だとガジェット通信やロケットニュースが『若干名ライター募集します』みたいな時代。

今ってブログの記事なんかを持って行けば評価してもらえるじゃないですか。それってすごく良い時代で。当時は『制作実績を見せてください』『商業実績のある方のみ募集』とか言われて。無理じゃないですか、商業実績ないから商業実績作りに行ってるのに(笑)。だからとにかく商業実績を作るために、一本500円みたいな所から始めました。今web記事の原稿料が安いとかいろいろな議論がされていますが、安いのは昔からの話なんですよね。

 

ただ僕は、ライターってすごい仕事だと思っています。ほとんど人件費しかかからないし、頭の中で考えてることを文字にしたものが価値を持つってすごいことだと思うんです。そういう形のないものに対してお金を支払ってもらえるのってすごいなと思ったのがこの仕事を始めた理由であり、やっている理由です」

 

嬉しかったことと大変だったこと

(元のテーマ「印象に残っている企画や、大変だったこと・やりがいを感じたことは?」より)

 

朽木さん「もちろん記事書いて初めてまとまったお金をいただいた時は嬉しかったですし、直近だと紙の仕事が始まったこと。プレジデントに書けるようになるのは自分にとって大チャンスなので、印象に残っているというか『ライターやってて良かった』と思いました。

 

一方で、努力の話を得意げに語るのはダサいと思いつつも大変だったのは、前職でメディアを運営していて。3カ月くらいは会社に泊まってソファで寝て、6時に来る家事代行サービスの人が掃除機をかける音で起きる。そういう生活をずっとしていました。だって27歳で始めてるから後戻りなんてできないし、結果残さなかったら『何がやりたかったの?』って話になるじゃないですか。僕は本来負けん気も強いタイプなんです。嫌いなものも嫌いな人もいますし、そういうもの全部に『いつか見てろよ』って思って仕事してきました。別に何も成し遂げてないんですけど、こんな風にみなさんの前に立てるようになったのが何よりありがたいと思いますし、これからもそういう努力を続けていかないとな、と思っています」

 

まずは組織に入って修業した方が良い

(元のテーマ「これからライターとしてやっていく人へのアドバイス」より)

 

朽木さん「あんまり独学でライティングとか編集が学べるとは思っていなくて。自分が『正しい』と思っていてもまわりとはズレてる可能性もあるので、誰にも教わらずに独学でやるのはすごく怖いことだと思います。なのでライター向けの講座もそうなんだけど、たとえば最初は編プロやメディアを運営している会社に入って修業するのが良いと思います。どこが良いかは僕は言えないですけど、ある程度名が通ってるとか、あるいは自分がすごく好きなメディアとか。なので講座を受けるか、あるいは知見がずーっと脈々と溜まっている組織に所属するのは1つの手だと思います。

 

ただし正解はないので、どれが正しいかとかはないです。ただ個人的にはそれが1番、無駄が少ない。キャリアのいったりきたりが少ないんじゃないかなと思う。もちろんフリーでバリバリ活躍してる人もいるから、自分に合うやり方は人それぞれです」

 

さいごに

朽木さん「今回登壇したのには理由があります。社会人として先に走ってるのは事実なんですが、別に差なんてあるようでないんですよ。

この仕事って面白くて、ばーって有名になる人もいっぱいいるじゃないですか。この仕事は短距離走であり長距離走なんです。短距離でも負けたくないし長距離でも負けたくない。

僕はプレイヤーがいっぱいいた方が良いし、ちゃんと競争して良いプレイヤーが残ってくれた方が良いと思っているんです、1プレイヤーとして。高い所から見てる監督ではなく、実際ぐるぐるぐるぐる競技場走ってる人間として、もっとみんなこのレースに参加してほしい。しんどいし簡単なことじゃないけど、それだけの価値がある仕事だと思っています。読んでる人はおもしろかったり役に立ったり、マイナスなことはないはずじゃないですか、本来は。そういう価値を、しかも低コストで届けられる。

今日、若い人や大学生と関われる機会は非常に貴重だなと思って偉そうに喋らせていただきました。みなさんどんどん書いたり編集したりしてどんどんコンテンツ作って、一緒に世の中に価値ある情報をもっともっと届けていきたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

 


 

他にも、運営側が用意した以下の項目についてご講演いただきました。

・「これからのライター界にこういう若い人が出てきてほしい」など、業界について思うことは?

・ライターと編集の違いとは?

・メディアにとっての成功とは?(質疑応答での質問『PVの概念についていろいろ議論がありますが、PVという指標について何か思う所はありますか?』より) 

など

 

そして質疑応答の後に交流会を1時間ほど。さらに21時にイベントを終了し、場所を変えて懇親会を行いました。

「一緒に何かを始めよう」という話をしている学生や、より突っ込んだ内容の質問を朽木さんにぶつけている学生も見られました。

 


 

今回のご講演では、ライターの現実を学ぶと同時に朽木さんの業界や仕事に対する情熱が伝わってきました。現実と情熱を一緒に伝えるってとても難しいことだと思います。でも朽木さんのお話を聞いていると「確かに大変そうだけど、でも頑張ってみたい」という気持ちになるんです。きっと、会場にいた多くの学生がそうだったはずです。

 

運営側として偉そうなことを言うと、今回のイベントで1番実現したかったことがこれなんです。「現実的な部分は伝えなきゃいけないけど、でもつらい印象ばかり伝わってライターを目指す気持ちが萎えてしまったらどうしよう」という懸念は準備中ずっとありました。ただその何倍も何十倍も、朽木さんの業界や仕事に対する愛の方が強くて。仮にライターという職業関係なしにしても、1人のプロが仕事にかける思いが伝わってくる、とても濃い1時間でした。

 

 

なお、編集大学生では第3回のイベントを主催してくださる学生を探しています。

本当に探しています(必死)。

メディアと大学生をキーワードに「こんなイベントやりたい!」というものがある方、ご連絡お待ちしております。

(歓迎:過去に行われた編集大学生のイベントのどちらかに参加したことがある方)