午前2時に書くブログ

大人になりたいようななりたくないような、誰かとお話したいようなしたくないような、あの感性を大事に。

「編集大学生」参加レポ

11月3日、神保町のコワーキングスペースEDITORYで開催された『編集大学生』というイベントに参加してきました。

今回はそのレポートです!

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このイベントは「メディアに関わる学生が3カ月に1回くらい集まれたら良いね」という想いから企画され、今回が第1回目。

当日はアセナビ編集長の磯部俊哉さんが司会を務め、灯台もと暮らしインターンの木村すらいむさん、Noren Portland編集長の山崎涼真さん、MTRLライターのさきさんが登壇されました。

 

Twitterすごい

まず、私がこのイベントを知るきっかけになったのはこちらのツイートです。 

 

 

私は前回の記事にも書いた通り、「学生ライター増えればいいのになあ、そんでたまにみんなで集まってライター話をしたいなあ」という想いをずっと持っていました。

ほとんど勢いで上記のツイートをしたところ、これを偶然目にされた磯部さんから連絡をいただいたというわけです。Twitterすごい。つよい。

 

「ゆるく」繋がる

今回のイベントのコンセプトは「メディアに関わる全ての学生がゆるく繋がっていくことを目指して」。最初に拝見した時、「まさにこれだ!」と思いました。

 

事前にお会いした際、磯部さんは「書く事が好きな人って、がっつり集まってみんなで意識高く何かをするということが好きな人ばかりではないと思うんです」と話してくれました。ほんとそれな。

ライターなどの活動をしているとまわりの学生から「意識高い」と思われがちなのですが、そんなことはなくて。むしろ自分のペースを乱されたくない、良く言えば職人気質、悪く言えば自己中心的な人が多いです。でもどこかで、人と繋がりたいとか、ライター話で盛り上がりたいとか思っている。そんな人達には、「ゆるく繋がる」という概念は本当にぴったりだと感じました。

 

登壇者によるパネルディスカッション

では、イベントの内容に入っていきます。

磯部さんを司会とし、登壇者によるパネルディスカッションが行われました。

 

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主に「メディアとの出会い」「大変だったこと」「今後のキャリアは?」「メディアを続けられるやりがい、成功体験は?」の4つの質問に沿って進みました。

全体の流れについてはtogetterが参考になるかと思います(木村さんまとめありがとうございます・・・!)

togetter.com

 

当記事では登壇者の回答や参加者の発言から、気になった部分をご紹介させていただきます。

 

ライターのモチベーション管理どうしてる?

山崎さんが編集長を務めるNoren Portlandでは、記事への原稿料が発生しないそうです。そこで「ライターのモチベーション管理はどうしているか」という話題になりました。

 この問いに対し、山崎さんは「サイトの開発やデザインに力を入れ、常におしゃれなサイトを目指している。また、他の人が書けないことを書いてやろうという意欲作りが大事」と回答。

実際、Noren Portlandはライター側の希望や特性を汲み取った仕組みづくりが上手です。

私は編集の経験がほとんどなく思いっきりライター側の人間なのですが、「お金をいただかなくても責任感を持って一生懸命書きたいと思うメディアの条件」を考えてみると、

①   努力・工夫次第で他のライターと差別化できる

②   サイトがお洒落

③   ここで書くことが別の仕事や将来に繋がる

④   PV等のリーチ数が把握できる

この4つになります。

 

NorenPortlandはライターごとに個人のページを用意していて、簡単なプロフィールに加えSNSアカウントへの導線があります。さらに当日のお話では、記事を読んだ外部の企業から名指しでライティングの仕事が入ることもあるそう。もちろん記事のリーチ数をライターに公開していて、私が「書きたいなあ」と思う条件を全て満たしていましたし、実際ノーギャラにも関わらず2〜3日に1回程度の更新率を保ち続けています。

 

この「ライターのモチベーション管理どうしてる?」問題については、同じく参加者の狭間純平さん(@junpei_hazama)が興味深い記事を書いてくださっていました。

www.junpeihazama.com

 

 メディアに関わる人間には2種類ある

MTRLのさきさんによる「私以外の登壇者は伝えたいことがあって、その手段としてメディアを活用しているんだと思う。私の場合は『これを伝えたい』という題材はなく、書く事自体を極めたかった」というお話も印象的でした。

 

この話を聞いて、メディアに関わる人間には2種類いると思いました。書くことはあくまで手段である人と、書くこと自体が目的になっている人。私と、おそらくさきさんも後者です。

どちらが優れているという話ではありませんが、最終的には専門分野を持った方が良いとは思っています。今はいろんなジャンルで書くことによって相性の良さそうな領域を探しているのですが、探し始めて1年経ったのでもしかしたら一生見つからないかもしれません。就職先が人材系の書く仕事なので、とりあえずは人材系に特化できたらいいなあ。

これは体感の話ですが、登壇者や当日お話した参加者を見た限り前者(書くことは手段派)は編集とは無関係の業界・業種を志望する学生が多く、後者(書くことは目的派)は新聞社や編集職など何かしらの形で書く仕事に携わる予定の人が多くて面白かったです。

 

ライターにとっての正解とは

 

これほんと共感しました。私もwebのローカル新聞でガチガチの文章を書く一方で、若い女性向けのゆるいサイトで「さっそく気になる男子に使ってみよ〜♡」みたいな文章を書いていた時期があり、切り替えに苦労しました。

メディアによって求められるものが違っていて、それぞれに慣れるまで時間がかかります。一方で、常に新鮮な気持ちでいられるのが楽しい所。メディアが持つ空気感ごとに、演じ分けていく感覚と言えばいいのかな。新聞の時は新聞記者としてのひーこが書いていて、女性向けの時は女性の恋愛アドバイザーとしてのひーこが書いていて。まあどっちも真顔でキーボードカタカタ叩いてるだけなんですけど。

とにかく、私もこの部分がライターの仕事でとっても面白い部分だと思っています。

 

次世代を担うライターと、大人達の期待

 

 

今回のイベントは、ノオトの朽木さんや灯台もと暮らしの鳥井さんなど、社会人の先輩方も注目されていたようです。下の世代を待ってくれている、期待してくれている方々がいるというのはとても幸せなことだと思います。

 

いまライターと呼ばれる人は数えきれないほどいますし、学生ライターに絞ってもかなり増えてきています。そんな中、①ルールと納期を守り、②取材相手や読者に配慮し、③正しい情報を、④継続的に書き続けられるライターは意外と少ない。これらを徹底するだけでも、私達は「求められるライター」になっていけると思います。

また学生ライターにありがちなのが(私もそうなんですけど)大人の世界を少し覗き見できたことで、思い上がること。いろんな成功者に取材をすることで、彼らの成功部分にのみ注目し、泥臭い作業や地道な努力を軽視すること。形のない「文章」というものを提供する立場だからこそ、丁寧にできる部分はできるだけ丁寧に。こだわれる部分にはできるだけこだわって、他でもない自分が自信を持って送り出せる作品を作っていきたいなと思いました。

 

ちなみにイベントの後facebook上で学生ライターのグループが発足し、イベントの参加者を中心に界隈の学生が集まりつつあります。3カ月後には次のイベントが開催されることと思いますし、ここを拠点に学生ライターや学生編集者の世界が盛り上がっていくことを心から楽しみにしています。

 

最後に、素敵なイベントを開催してくださった磯部さん、木村さん、山崎さん、さきさん、本当にありがとうございました!